乾乳期の管理について
めおとファームでは一般的な農家と同じく50〜60日程度乾乳期間を取ります。
飼養形態はフリーストールで牛が自由に動けるようにしています。
乾乳期は動いて骨格筋をリフレッシュさせた方がよいとの考えからです。
理想はフリーバーンなのですが、施設の制約があるので致し方ありません。
乾乳期は前期と後期共に、搾乳期と同じチモシーを自由に食べられるようにしています。
乾乳前期は基本的に配合飼料を与えず、チモシーとバイパスタンパク1kgだけのメニューになります。
乾乳前期の高エネルギーは血糖値を上げてしまい、分娩時に悪影響を与えるからです。
乾乳後期は配合3kg程度とバイパスタンパク1kg、マグネシウム、コリン、メチオニン、イーストカルチャーを与えます。
分娩後は、カルシウム、レバチオ、痛み止めを与えます。
牛の状態を見ながらこれを数日つづける感じになります。
このメニューが基本形で、牛の状態を見ながら少し変えたりもします。
一番大事なのは牛の状態をベストにもっていくことだからです。
このやり方をしていれば、太り過ぎた牛以外は問題なく分娩をやり過ごす事ができます。
分娩は泌乳期のスタートです。
よいスタートダッシュを決める為にも、乾乳期は大切に飼いたいものです。
悲しいお知らせ
めおとファームでは4か月齢ぐらいになると、岩手県の牧場に上牧します。
向こうで種付けをして、分娩の2か月前になると帰ってきます。
何もなければ向こうの方とやり取りすることはないねですが、トラブルがあったりすると電話がかかってきます。
そして昨日電話がありました。
いつもは種付きが悪い、流産してしまったなどの連絡が多いので、その手の話だと思って受話器を取りました。
「すいません、預かっている牛が急に亡くなりました。」
・・・。
マジか⁉︎
話を聞くとどうやら前日までは普通にしていたようで、朝来たら亡くなっていたようです。
先日急死したがんちゃんと重ね合わせてしまい、ガッカリしました。
まあ仕方のないことです。
どんな状況だったのか離れている私にはわかりませんし、受け入れるしかありません。
牛の名前は「マミ」ちゃんでした。
妊娠して戻ってきて、牛乳搾りたかったよー!
お疲れ様!
ゆっくりお休み。
コロナウイルスでF1価格はどうなった
昨日は生後1か月ねF1♂の子牛を3頭出荷しました。
出荷先は家畜商の方に任せているのですが、昨日は北海道への出荷でした。
コロナウイルスの影響で和牛肉が売れなくなり、和牛の値段も下がっている状況が続いています。
当然F1子牛の価格も影響を受けます。
前回はやや下げだったのですが、果たして今回は。
結果は、24万円が2頭と20万円が1頭でした。
個人的には予想よりも下がっていなく、一安心でした。
一時期よりは5万円程下がった感はありますが、全く問題ありません。
めおとファームは牛乳での収益をメインにしているので、F1子牛のこの位の下落は気にしません。
ドーンと構えていきます!
話は変わるのですが、ファームノート、カラーを導入しようと思っていたのですが、残念ながら導入は見送りました。
どうやら話を聞いた価格よりも実際は多くかかる事が判明したからです。
電話で話した方は料金について勘違いか、把握していなかったようです。
初期費用20万円、月々1万円ちょっとだという話だったのですが、実際はめおとファームの規模では月々5万円程かかるということで、それでは全く話は変わります。
ちょっと試してみようかなぁ〜という話ではなくなりました。
数百頭以上を飼う大規模酪農ならまだしも、つなぎ飼いではこの価格で使うメリットは感じられないかもしれません。
興味があっただけに非常に残念ですが、気持ちを切り替えていきます。
観察、観察!
ファームノート、カラーの導入検討中
先日ファームノートカラーのオンライン説明会を受けて、興味を持ったので詳しく話を聞いてみました。
一通り聞いた感じでは惹かれてる部分もありました。
特に反芻時間のモニタリングに興味をそそられました。
正直今まで反芻の観察はしたことがなく、実際どうなっているか不明な部分の方が多いです。
反芻をモニタリングして、問題点を見つけ改善することで更なる成績のUPが見込まれるかもしれません。
また発情発見率も上がることで、空胎日数も短くできるかもしれません。
あくまで仮想ですが、いくつかのメリットが考えられます。
ファームノートカラーの導入費に関しても、めおとファームの規模なら初期費用20万円程度で導入できます。
これはやるしかないかなぁ〜。
もし結果的に効果があまりなくても、牛をより深く知る為の経験になるんじゃないかと思います。
うん、やってみなくちゃわからない!
導入しよう!
4月1回目の繁殖検診
今日は繁殖検診の日でした。
妊娠鑑定3頭にフレッシュチェック10頭診てもらいました。
妊娠鑑定は3頭オールプラス。
7頭PGで2頭イージーブリードを挿入しました。
牛たちの繁殖の状態も中々良いんではないんでしょうか。
めおとファームでは一旦分娩ラッシュが終わってこれから種付けラッシュに入ります。
夏は暑くて受胎は難しいので、それまでに全頭受胎を目指し、丁寧に管理していきます。
あと3か月が勝負!
みんな頑張ろうねー!
めおとファームのこれから
Twitterをしていると、色んな畜産農家さんがいていろいろ考えさせられます。
大規模農家、これから大規模に向かう農家、中小規模農家、放牧農家、6次産業化を進める農家、新規就農を目指す方、多種多様な考えの方がいます。
そんな中ウチはどうするのかと言うと後20〜25年は酪農を続けたいとは思っていますが、それで一旦終わりにしようと考えています。
私の代で酪農は終わりです。
酪農を継続させない理由は色々ありますが、一番の理由は今の設備ではそれ以上は続けられないからです。(あと20年保つかも怪しいですが・・・)
それなら新しくすればいいとの考えもあるとは思いますが、先行きの見えない中多額の投資はリスクが大きいと感じています。
特に私の地域は酪農が盛んな地域ではないので、将来どうなるか不透明です。
私の代で酪農は無くなる気配さえあります。
しかも、ウチは土地があって自給飼料を作っているわけでもないので、どうしても続けなきゃいけない理由があるわけでもないんです。
離農というと少し寂しい感じはしますが、時代の流れには逆らえません。
今は乳価も高く、餌も安く手に入る地域なので、60頭搾り程度でもやっていけますが、今後はどうなるかわかりません。
もしかしたら今の規模では20年も続けられないかもしれません。
その時は潔く去ります。
ただ、牛を飼う事は好きなので残りの酪農人生もチャレンジしながら楽しくやっていこうとは思っています。
当面の目標は、年間を通して乳量牛群平均40Kg以上を保つことです。
一時的に牛群平均40Kgを超えることはあっても、年間を通して40Kgを超えることは今の牛群では難しい。
牛群を計画的に揃える事が出来なくては達成できません。
理想は初産15頭、2産15頭、3産10頭、4産10頭、5産10頭の牛群です。
ここまでコントロール出来るようになれば、牛群40Kg超えも可能になります。
その為の一番の課題は乳房炎コントロールです。
産次を重ねた時に良き乳質を保っていられない牛は、居続けることは難しいからです。
乳房炎の技術に関してはまだまだレベルアップの余地があるので、改善していこうと思います。
この目標は3年で達成させます!
(たぶんイケる)
その後はもう一つ簡易的な牛舎を立てて、繁殖和牛でも飼おうかなぁ〜なんて漠然と考えています。
それともう一つ牛を飼う技術を、若い人に伝えたいなんて事も考えています。
私は素人で酪農の世界に入り、実戦で牛を学んできました。
13年酪農をしてきて自分なりに技術を身につけてきたつもりです。
時々、農業高校、農業大学校、大学の農学部の生徒たちが見学に来たり、話したりする機会があるのですが、牛についてはほぼ素人です。
そこから酪農家になりたいという人もいません。
辛口ですが、教育のレベルがとても低いと感じています。
酪農の面白さを全くわかっていない。
非常に残念です。
だから、教育に携わりたいなんて思いもあったりします。
でも、これからは酪農も大規模化が進み、一頭一頭を上手に飼うより全体のマネジメントの方が学ぶ主流になるんだろうなぁーとも感じています。
飼い方、考え方、共に時代に取り残される感じはしますが、まだまだしぶとく生き残っていきますよー!
アニマルウェルフェアについての考え
ブログを始めたのと同時にTwitterも始めたのですが、酪農関係の方で畜産反対のヴィーガンの方と言い合いをしているのをよく見かけます。
私も若い頃はそういう畜産反対派の方の言動にイライラしていたものですが、今は不思議とどうでもよくなりました。
酪農を含めた畜産が家畜たちの命を搾取している事は事実ですし、それを認めているからです。
私は聖人でも何でもないただの人です、自分が生きる為、家族を養う為に酪農をしているだけです。
「動物虐待するなー!」とヴィーガンの方に言われても、
「すいません。僕も生きていかなきゃいけないんで。」で終わります。
そもそも生きる事自体が、他の命を奪うことなので、ごく当たり前の事のように思います。
奪う事を否定するのなら、自分の存在を否定しちゃう事になります。
私はそう考えてます。
それとは別に牛たちを飼う上で「アニマルウェルフェア」というものがあるんですね。
牛を快適な環境下で飼育することで、ストレスや疾病を減らし、生産性の向上や安全な畜産物を生産する事が目的です。
ざっとマニュアルを読んだのですが、牛を飼う上で、ごくごく当たり前のことが書いてありました。
乳牛はキチンと飼育して健康でなければ、たくさんの牛乳は出ません。
そして経営的にも成り立ちません。
牛にできるだけストレスを与えずに健康に飼うのが私たちの仕事です。
ただ全ての酪農家の方がこれを出来ているのかはわかりません。
私は周りの酪農家との関わりを持たないのですが、周りの方が上手くやっている話はあまり聞きません。
酪農は技術職です。
技術がなければ牛を健康に飼うこともできません。
ですから先ずは技術を身につけることが一番大切です。
アニマルウェルフェアも言葉だけが一人歩きするのではなく技術と合わせて広まっていけば、もっと酪農家にも受け入れられるのではないかと思います。
和牛受精卵の追い移植
牛たちの受胎率向上の為に和牛受精卵の追い移植を検討しています。
どう考えても繁殖を早く回した方が、経営的にも牛の健康的にも良いと考えたからです。
元々繁殖成績は良い方だと思うのですが、時々種付きの良くない牛も現れます。
繁殖が遅れると乳量も落ちて、余分な脂肪をつけてしまい、次のお産に悪影響を与えます。
ですから、受胎は早ければ早い方が良いと思っています。
そこで考えたのが、追い移植。
発情が来てAIした一週間後にETするやり方です。
獣医さんの話によると、確実に受胎率が上がるとの事です。
ウチのスタッフはETも出来るので一石二鳥です。
ただ、この話をしたら
「もったいないんじゃないですか?」
「双子になっちゃいますよ」
と言われてしまいました。
確かに双子のリスクはあります。
その辺りも考慮しながら、必要な牛には追い移植をしてみたいと思います。
分娩間隔を牛群全体で380日を目指していきます。
やるぞー!